flotsam books（フロットサムブックス）

Marina Gadonneix（マリーナ・ガドネ）は、現実のさまざまな表象に疑問を投げかけ、フィクションと現実、物質性と非物質性、シミュレーションとイリュージョンの間に作品を刻み込みます。
彼女は、現代世界の人工性を明らかにするために、空虚、脱構築、再構築に努めています。長年の研究に基づき、彼女の写真活動は、エンターテインメントや科学の世界から来るものであろうと、イメージの作り方や、抽象化の傾向にある社会的かつドキュメンタリー的な目的による演出に疑問を投げかけています。
彼女のカメラは、私たちをイメージの裏側へと誘い、ラボラトリーというコンセプトは、より洗練され、より削ぎ落とされ、イメージの持つ潜在的な驚きに満ちたスタイルで、彼女のすべての作品を導いています。

本書は、Lynne Cohen（リン・コーエン）がミニマリズム、ポップアート、コンセプチュアルアートの影響を受けて、1970年代に版画や彫刻から大型カメラによる写真撮影に切り替えた時期の未発表写真が紹介されています。
一連の作品ではなくテーマごとに配置された視覚的な作品群は、アーティストの概念的な厳密さと、社会空間の構成を現在も研究している彼女の皮肉の両方を反映しています。

コーエンは、人間の存在を一切感じさせないイメージを作り出します。
彼女はまず、居間、宴会場、待合室、スパなど、個人的あるいは半公共的なインテリアに焦点を当て、次に、実験室、射撃場、観察室、トレーニングルームなど、次第に無菌的な場所に焦点を当てます。
時にキッチュなこれらの環境には、ある種の謎と不穏な雰囲気が漂っています。
厳格なフレーミング、一定の距離感、素材や表面を際立たせる光が、彼女が撮影した場所に「超現実的」で人工的な印象を与え、照明の中立性と登場人物の不在を通して、家庭のインテリアや職場は、拡散的に行使される社会的統制を想起させます。

フォード・リバールージュ工業団地を撮影したMichael Kenna（マイケル・ケンナ）の代表的な写真集の改訂増補版です。
マイケル・ケンナは、モノクロームのみで撮影し、世界中を旅して自然や人工物の見事で幻想的なイメージを生み出してきました。幽玄なトーンと驚くほど繊細なディテールで知られるケンナは、環境破壊の記録者でもあります。

Gerhard Richter（ゲルハルト・リヒター）は常に風景を扱ってきました。
雑誌やアマチュア写真のイメージに基づくモノクロの風景、厚いインパストで描かれた山や公園の風景、柔らかな色調で透明感のある幻想的な湖の風景など、これほど彼を魅了し、長年にわたって夢中にさせたモチーフは他にありませんでした。
1968/69年の繊細なコルシカ島の絵画以来、風景画はリヒターの作品の中で確立された、独特の作品群となっています。
リヒターは絵画的な方法で現実を捉え、風景と抽象は対立するものではなく、関連する概念として現れている。優れた図版と洞察に満ちたテキストを含む本書は、60年代初期から現在までのリヒターの風景画を検証しています。

コレクション15作目となる本作では、ファッションとポートレートの分野で活躍する写真家 Paolo Roversi（パオロ・ロベルシ）が鷹狩り用の鳥（フクロウ、ミミズク、ハヤブサ）を彼のスタジオに招き、大判のポラロイド写真に飽和した光を浴びて登場する興味深いシリーズを制作しています。ロベルシの特徴であるミニマルなポートレートとモノクロームの色調が、猛禽類の威厳を見事に表現しています。

スツールや椅子の背もたれの上に置かれた鳥たちは優雅にポーズをとり、その目は注目に値する被写体になったことに時おり驚いています。
スミレ色や古色を帯びたゴールドの色調で、鳥の静かな存在、突然の飛翔、驚いた視線は、まるで絵画のようです。
ロベルシのこのシリーズは、芸術的モデルとしての鳥と人間との関係という、鳥に対する新しい見方を提供しています。

パブロ・ピカソ没後50年に際して、パリのピカソ美術館はSophie Calle（ソフィ・カル）をオテル・サレに招きました。
現代美術の巨匠の一人であるピカソと向き合いながら、彼女は美術館の全スペースを空っぽにすることを選び、ピカソを追い出して上階に自分の家具や個人のアイテムを設置し、1階では「ゲルニカ」にインスパイアを受けた彼女が長年にわたり他のアーティストと交換してきた作品の巨大なコラージュのような作品を展示しました。
「A toi de faire, ma mignonne」と題した展覧会に合わせて、ソフィ・カルはピカソとの「出会い」を記した本を制作しました。それは警備員からの証言、ロックダウン中に詰め込まれた絵画など、ソフィ・カル特有のストーリーテリング・アートで、多くの物語が紹介されています。

Lois Weinberger（ロイス・ワインバーガー）の作品は、70年代から自然をテーマにしており、社会的な言説や自然と文化の境界に関する問題に対して、彼は自然に自らを語らせています。

彼の作品はしばしば緑、成長、および文明の周縁部などの自然要素に焦点を当て、生活のダイナミズムを強調しています。 ワインバーガーの最小限の絵画的構成とほとんど見えない介入は、自然の要素を「完璧で、挑発的な領域」に変え、変化と自然の意味のなさそうなプロセスや状況の完璧さを明白な構造なしに明らかにします。

Alexander Rodtschnko（アレクサンドル・ロトチェンコ）は、芸術の前衛を体現したアーティストのひとりで、主に合理的な形成プロセスに焦点を当てていました。
彼は絵画やドローイングなどの伝統的なメディアの他に、建築、彫刻、タイポグラフィやデザインなどの応用芸術にも取り組みました。さらに、写真にも強い興味を持ち、「空間構成」という独自のジャンルを確立しました。

Kunstforum InternationalのフォトグラファーであるWolfgang Trager （ヴォルフガング・トレーガー）は、1990年のヴェネチア・ビエンナーレ、ウィーンでの「fluxus subjektiv」、1992年の2CVの上屋でのFluxus-Virusとda capo 、そして2014年の「Fluxus Medicine Show」の世界ツアーなど1990年以降のすべてを撮影しました。
ヨーロッパとアメリカの写真には、パフォーマンスと肖像写真、アーティストの仕事中やプライベートでの姿が含まれています。
Fluxus運動は決して消滅することはありませんでした。それは常に、芸術が私たちの意識を高めることができることを魅力的で魅力的でユーモラスな方法で示してきました。

残念ながら、一部のFluxusのアーティストは亡くなってしまいましたが、Wolfgang Tragerの本では、彼らが再び家族の肖像画として集まっています。

スウェーデンの写真家 Marten Lange （モルテン・ランゲ）の写真集「Threshold」です。
この本は、荷物をまとめ、家を出て、最初からやり直すという物語で、空っぽのアパート、店舗、オフィスの写真で構成されています。
写真は5年間にわたって、世界中のさまざまな都市で集めたもので、どの部屋にも出発の痕跡と新たな始まりの可能性が含まれており、この本は二重の解釈を提供しています。
あなたは出発していますか、それとも到着していますか？