【Photographs by】Asako Narahashi(楢橋朝子)
【出版社】OSIRIS 2023年
【装丁】Hardcover(ハードカバー)
【ページ】120 pages with 79 monochro. illus.
【サイズ】17.5 x 26.3 cm
【状態】A: New
本書に収録された写真は、1989年に撮影された写真家・楢橋朝子(Asako Narahashi)の最初期の作品群です。
熊本、博多、那覇、石垣島、竹富島、三宅島、御蔵島、横浜、横須賀、東京、湯沢、八戸、三沢、竜飛や十三湖や小泊など津軽のあちこち......撮影地は南へ、北へ、島々へと広がっています。
本書の書名は、1989年4月に「春は曙」と題した初個展のタイトルからとられています。
収録のエッセイで楢橋は、写真が日々を 突き動かしていた当時の気持ちをこう語っています。
......どこへ行くかも何を撮るかもつよく決めていたことはひとつとしてなく、流れや勢いや絡みや逃げなどが針を動かしていたような気がする。どこでもよかったしなんでもよかったのだと思う。写真は手段ではなく、目的だった。
「春は曙」は現在に至る楢橋のすべての作品のエッセンスを内包しているのかもしれません。とりわけ水辺のカラー作品のもつ、どこか不安定で不確かな、地名性を欠きながらも踏み入った土地の空気を吸い上げていくような感覚、暴力性と繊細さ併せもった感性のいずれをも、1989年の作品は既に宿しているように見えます。