【Photographs by】Kousuke Okahara(岡原功祐)
【Text by】Tatsuya Ishikawa(石川達也)
【出版社】THE BACKYARD 2020年 First edition of 800 copies
【ページ】192 pages with black & white illus.
【サイズ】22.7 x 17.2 cm
【状態】A: New: サイン入
日本の写真家 岡原功祐(Kousuke Okahara)の写真集「blue affair」です。
渋谷と思しき街のブレたイメージ、視点は徐々に上空へと上がり、暗転し、海に潜り、浜辺へとたどり着きハッキリと像を結ぶ。この冒頭のシークエンスはまるで映画のように読者をコザへと導いているようです。モノクロのイメージは時間まで剥ぎ取り、かつてのコザの断片を垣間見せます。
沖縄本島中部の中心都市として発展し、74年に合併により沖縄市になったことにより消滅した、日本で唯一の片仮名表記の市「コザ市」。80年生まれの写真家がコザを撮るのは不可能かと思えるが、沖縄の至るところに地図から消えたコザは残っているといいます。
本書の解説で石川達也氏はこう書いています。
「コザで切り取られたイメージ。そこに、彼(写真家)は写っていなかった。撮影しているからというようなフィジカルの問題ではない。一方的にも、双方的にも、レンズを行き交う感情が見当たらない。まるで、そこにいなかったかのように。彼自身は浮遊していて、どこか遠くの高いところから俯瞰し、目の前で起きた出来事を見つめているかのように。ただ、そこには、温もりや悲しみのような人をまとう情緒がすべて削ぎ落とされたあとに残る、圧倒的な存在としてのイメージだけが、ストンッと写っていた。間違いなくその瞬間に、同じ場所で、同じ空気を共有しながらも、彼は一部ではなく、外側の世界から覗き込んでいた。
- 彼は確実に、夢の中にいた。」