【Artist】Tinguely, Jean(ジャン・ティンゲリー)
【Text by】Olivier Suter
【出版社】Edition Patric Frey 2015年
【装丁】Boards(ハードカバー)
【ページ】256 pages with col. and monochro. illus.
【サイズ】28 x 20.5 cm
【言語】ドイツ語
【状態】A : New
スイスのアーティスト Jean TInguely(ジャン・ティンゲリー)の作品集「TORPEDO INSTITUT」です。
「泥棒のために刑務所があり、アーティストのために美術館がある」
これはスイスのアーティスト Jean Tinguely(ジャン・ティンゲリー/1925-1991年)が掲げた信条でした。
ティンゲリーは1988年にフライブルクとローザンヌの中間にあるラ・ヴェルリという田舎街にあった廃工場を買い取り、そこで4年間休むことなく働き、多大な労力を費やし、ようやく「完全なる“アンチ”美術館」を作り上げ、そこを「Torpedo Institut」と名付けました。彼はその3000メートル平方にも及ぶ巨大な工場を、作業場と劇場舞台、展覧会場の全てを合わせたスペースへと作り替え、その暗く巨大なホールにて、ティンゲリーは自身のマシーンや彫刻作品を展示するだけではなく、ニキ・ド・サンファルやエヴァ・エプリ、ダニエル・スペーリやベン・ヴォーチェなどといったアーティストたちの作品も展示しました。
この“アンチ”美術館の開館時間は不規則で入場するのが非常に困難でした。スペースは常に進化し続け、独自のルールによって統治されていました。そこはまさにティンゲリーのアーティストキャリアにおける正式でコンセプチュアルな統合体を象徴する本質的な作品そのものでした。
しかしティンゲリーの遺言に反して、彼の死後「Torpedo Insitut」は解体され、その後は彼の作品リストに入らないどころか、バーゼルのティンゲリー美術館発行のカタログにさえ掲載されず、語られることもほとんどありませんでした。
本書『Jean Tinguely. Torpedo Insitut』では、この“アンチ”美術館にティンゲリーの晩年の作品群のひとつとして正式な場所を与え、初めて「Torpedo Institut」を再構築する試みのために啓発的で真正なる証拠書類を提示します。つまり本書はティンゲリーの作品の受入れのために切実に必要とされていた、非常に重要で興味深い一冊なのです。