flotsam books（フロットサムブックス）

DIC川村記念美術館で開催された「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画 」展は、幾何学的パターンによって画面に動きをもたらす抽象絵画で知られるイギリスの芸術家ブリジット・ライリーの、日本では38年ぶりとなる個展です。
本展は「オプ・アート」の旗手として注目を集めてきた彼女のキャリアを網羅する、30点以上の絵画が集められています。1960年代の白黒作品、1970年代のストライプ絵画、1990年代の曲線画から、近年の壁画作品まで、「色」と「形」の相互作用を駆使することで、人々の眼に強く訴える作品を次々に展開し、現在も多くの人をその作品で魅了し続けています。

この展覧会の図録である本書は、作品を図版として紹介するだけではなく、すべての作品に原寸のディテール図版を掲載しています。また林道郎、加藤有希子らの論考とともに、その作品世界を存分に紹介できる一冊となっています。

「Dream Dance: The Art of Ed Emshwiller」は、フィラデルフィアのLightbox Film CenterとRosenwald-Wolf Galleryで開催されたエド・エムシュウィラーの初の大規模な個展に合わせて発行されたカタログです。
エド・エムシュウィラーは、映画、ビデオ、ビジュアル・アートの分野で非常に多様な創作活動を行っており、20世紀後半に活躍したアーティストの中で、最も重要でありながらあまり知られていない人物の一人と言えるでしょう。
エムシュウィラーのキャリアは、抽象表現主義の絵画、コマーシャル・イラストレーション、映画、ビデオ、コンピュータ・アート、そしてダンサー、振付師、作曲家とのコラボレーションなど多岐にわたります。
このカタログでは、彼のビジュアルとファインアートのバックグラウンドに焦点を当て、初期の絵画、メモ、映画のスチール写真、スケッチ、エフェメラル、そして多くの初期のSFカバーペインティングを紹介しています。ロバート・ビーティの作品も含まれており、「Dream Dance」はエムシュウィラーの遺産を本格的に調査し、彼の多分野にわたる作品を新たな世代に紹介するものです。

アーティストのJane Dickson（ジェーン・ディクソン）は、ニューヨークの複雑なクリエイティブの歴史に深く根ざした中心的な存在です。
1970年代後半から80年代前半にかけて、アート集団「Colab」やギャラリー「Fashion Moda」、「Real Estate Show」や「Times Square Show」などの伝説的な展覧会に参加し、ダウンタウン・アート、パンク・ロック、ヒップホップを融合させたムーブメントの一翼を担ってきました。
このような画期的な活動を行う一方で、ディクソンは43丁目と8番街の間にあるアパートに住み、仕事をし、2人の子供を育てている間、ジェーンはタイムズ・スクエアの生活を写真に撮り、絵を描いてきました。
これらの作品の多くは今回が初公開となりますが、その中には、率直なドキュメンタリーのスナップショットや、ざらざらとした鮮やかな木炭のスケッチ、サンドペーパーからブリロパッドまでを使って描かれた絵画などが含まれています。
本書「Jane Dickson in Times Square」は、クリス・クラウス氏による序文が掲載されており、無法地帯で狂乱し、時に汚く、時に壮大であった当時のニューヨークへのタイムマシンとなっています。

シリーズ3作目となる本作は、現代アートにおける植物をテーマにしています。
50人のアーティストの作品の中には、生い茂ったサボテンの庭を描いた大規模な絵画、顔のある蘭、フィルムのように異世界的な睡蓮の写真、ソーシャルメディアから入手したバラのグリッチなテキスタイル、屍の花へのハイパーリアリスティックなオマージュなどが含まれています。
受粉、花びら、再生などをテーマに、Othelo Gervacio、Megan Marrin、Margo Wolowiec、Synchrodogs、David Axelbankなどのアーティストに焦点を当てています。
シュールでエロティック、抽象的でリアルなこの作品は、私たちが自然をどのように認識しているのか、そして周囲の環境を解釈し疑問を投げかけるためのツールとしてのアートについての対話を続けています。

本書は、オランダ人アーティスト、Mark Manders（マーク・マンダース）がオランダ・アムステルダム市のためにデザインした、新たに設置された彫刻的な噴水についての本です。
街の中心部に設置された噴水の歴史や制作過程をテキストと画像で紹介しているほか、マンダースの作品における動きについてのマリア・バルナスのエッセイも掲載されています。
また、ヤン・ケンペナースが撮影した最終結果の印象が、この新しい公共作品のポートレートを完成させています。

製造された衣服を分解し、再構築することによって「Tenant of Culture」は、アパレルの生産と販売のさまざまな段階において、イデオロギー的、政治的、あるいは文化的な視点がどのように実現されているかを検証しています。
工業プロセスを洞察するための手法として脱構築を用い、Tenant of Cultureは、ファッションの最近のトレンドとその社会的・政治的歴史に関連する、衣服の生産サイクルの様々な段階から得られる素材を探します。
衣服や靴、アクセサリーを分解して、縫い目や汚れ、摩耗を明らかにすることで、アーティストはデザインの決定に必要な素材を発掘し、組み立てに責任を持った個人の痕跡を明らかにし、生産のあいまいな倫理に疑問を投げかけます。
アパレルの生産における高度に形式化された分業は、大量生産された衣服に構造的に組み込まれています。
「Tenant of Culture」は、これらの素材を、耐久性に優れた素材と組み合わせた再構築プロセスを用いて、彫刻的な集合体に組み込んでいます。
これらの彫刻的部分の寿命を考慮することで作家は資本主義を強化する材料の陳腐化という商業戦略に疑問を投げかけることができます。
これらの作品は、贅沢な商品生産における視覚的言語と技術の戦略的な成文化を検証するものであり、商品の絶え間ない再評価／脱評価を通じて、権力、支配、階級の主張の力学を曖昧にしたり、明らかにしたりするものです。

2004年以降、Catharina van Eetvelde（キャサリン・ファン・エトヴェルデ）は、ドローイングについて、他に類を見ない画期的なスタンスをとっています。

彼女にとってドローイングは常に作品の基礎となるものですが、ドローイングを紙という媒体だけに縛られた活動として理解しているわけではありません。
むしろ、ドローイングは世界と、特に自然科学と関係を持つ方法なのです。
まさに人類学的なアプローチで、自然科学が私たちの生活や概念をどのように形成しているのかを分析、調査しています。
一見、揺るぎない科学の権威に反して、ファン・エトヴェルデは自分の芸術を、予測も操縦もできない混沌としたシステムに設定しています。

ファン・エトヴェルデは、自分の作品のもろさを十分に認識して描いています。
素材に細心の注意を払ったとしても、彼女は永遠の作品を作るわけではありません。むしろ、彼女のドローイングやコラージュはとても繊細な作品です。
ベクターで描かれたドローイングやアニメーションを構成するデータも、コンピュータのソフトウェアに依存しているため、その寿命は限られています。
紙の上に残した痕跡としての線、紙やフェルトに糸で刺繍した言葉としての線、空間に直線的に配置された素材としての線、アニメーションとして画面に一瞬現れては消えていく幽霊のようなデジタルの線など、作家はあらゆる形で線を作り出します。

オランダ人アーティスト、Mark Manders（マーク・マンダース）は、2012年度ハイネケン賞を受賞しました。
審査員からは、「興味をそそり、記憶に残るような独特の視覚的言語で個人的な世界を創造する能力がある」と評価されました。
この賞の受賞を機に、Roma Publicationsは1980年代後半から現在までのマンダースの全作品を網羅した、ほとんど百科事典のような本を作りました。マンダースの出版物の複製や、未発表の最新作を中心に収録しています。

Michael Borremans（ミヒャエル・ボレマンス）と Mark Manders（マーク・マンダース）は、共にヨーロッパが誇る芸術の歴史を素地に、他に類を見ないユニークな表現で世界に知られる美術家です。
金沢21世紀美術館で開催された二人だけの作品で空間構成をする二人展「ダブル・サイレンス」展のカタログです。

1979年から88年にかけて、イスラム共和国が人々を革命的・過激的な目的に動員するために使用した27枚のポスターを紹介しています。
この "furious（激烈） "なイラン芸術の時代は、あらゆる階級や民族のイラン人に影響を与え、既成の繁栄した政府に反旗を翻し、後にイラクとの最前線で戦うことになりました。

序文と各ポスターのキャプションを収録。

ポスターの真ん中に折れ目があるのは、新聞形式のためです。
これは製本や流通の過程で避けられないものであり、欠陥ではありません。
この製本はオリジナルの歴史的体験の一部なのです。