flotsam books（フロットサムブックス）

電車に乗る青年、手をつなぐカップル、公園で遊ぶ少女...シャッターを切るときに一瞬目が合うこともあるが、原美樹子は被写体と交わることはありません。しかし、これらのポートレートは、まるで写真家と被写体が「その時、その場所にいる」という見えない約束で結ばれているかのように、限りなくパーソナルなものを見せてくれます。
シンクの切り花、冷蔵庫のイチゴのショートケーキ、床でうたた寝する3人の息子など、原美樹子のアプローチは、日常生活の記録に根ざした親密な生活空間の中に広がっています。母であり妻でもある写真家の視線は、外から内へ、公から私へと行き来している。原美樹子はどこにいても、人生の断片のように観察し、物語を語ります。

1996年から2021年までの未発表の写真を、作家と共同で選定した出版社の主導により、本書『Small Myths』にまとめました。

フィンランドの写真家 Tiina Itkonen（ティーナ・イトコネン）の写真集「Inughuit」です。
1995年、1998年、2002年にグリーンランド北部で撮影されたこれらの写真には、生命力に溢れ、幸せに満ちた陽気な顔と同時に微かに憂鬱を写し出しているようです。

Ioanna Sakellaraki（イオアンナ・サケララキ）の「真実は土の中に」は、父親へのエレジーとして、またギリシャの喪の伝統が失われつつある中で、5年間かけて悲しみを探求したものです。

個人的な喪失の後、サケララキは自身の悲嘆のプロセスをレンズにして、ギリシャ社会における集団的な喪、祖先の儀式、私的なトラウマ、時間の経過の交差を調査しました。
さらに、ギリシャのマニ半島に残る喪主の共同体からインスピレーションを受け、滅びゆく伝統の長老として、新しい種類の主観性、親密さ、批評性を取り入れ、人間が死に適応するための方法としての霊安室の儀式を探求しています。

Alys Tomlinson（アリス・トムリンソン）による「Gli Isolani（The Islanders）」の写真は、虚構と現実の間のヒンターランドに生息しています。
トムリンソンは2年間にわたり、ヴェネチア・ラグーンの島々、シチリア島、サルデーニャ島の祭りや祝祭で着用される伝統衣装や仮面を記録しました。

Simon Wheatley（サイモン・ウィートレイ）による『LOST DREAMS』は、グライム・ミュージックが最初に生まれたストリートやタワー・ブロックのほろ苦いドキュメントです。
「LOST DREAMS」は、海賊ラジオが気ままな体験だった時代、青年クラブがこのジャンルのアンダーグラウンドだった時代、生々しく荒々しい歌詞が東ロンドンの公団団地の若者の生活を反映していた時代を回想します。

E14という郵便番号を舞台に、グライムの先駆的集団であるロールディープの「若者たち」を共に構成したアンダーグラウンド・クルー、Bomb Squad（ボム・スクワッド）と Wile Out Onez（ワイルアウト・ワンズ）に焦点を当てた写真集です。
しかし、この本は単なるノスタルジーやレトロクールにとどまらず、ソマリア出身のボム・スクワッドのメンバーがグライムの起源でもあるストリートライフに関わるようになったという洞察に満ちたインタビューが掲載されています。

「アーティストの80パーセントは、母親の問題を扱っている」
この個人的なインタビューでは、国際的に賞賛されているドイツのアーティスト、Hans-Peter Feldmann（ハンス・ペーター・フェルドマン）が、女性の磁力について考察しています。そして、芸術を逃避やセラピーとしてどのように活用してきたかを語っています。

「Williamsburg, A Place I Once Called Home （ウィリアムズバーグ、かつて私が家と呼んだ場所）」は、1994年から1996年にかけてのウィリアムズバーグでの生活を記録した、Mara Catalan（マラ・カタラン）の個人的な作品です。
この本は、ある時代の素晴らしい記録であると同時に、ウィリアムズバーグの多くの場所が激変したり消滅したりした歴史的なアーカイブでもあるのです。

アメリカの写真家 Stephen Shore（スティーブン・ショア）が、観光客の目を通してアメリカを探索するために単身旅に出て、撮った写真集。

オランダの写真家 Awoiska Van Der Molen（アヴォイスカ・ヴァン・デル・モレン）の写真集「Blanco」です。
写真は光によって存在しますが、Awoiska VanDer Molenの風景は暗闇から朧げに現れます。彼女のモノクロ写真は、彼女が撮影する孤立した世界の中心に深く浸透したいという願いから生じています。
2009年から制作しているモノクロ風景写真は、長期間にわたる隔離の結果です。写真家は人里離れた場所の本質を深く浸透させ、彼女のイメージを作成します。
急速に変化する今日の社会から距離を置いた彼女は、新しい方法を忍耐強く経験し、初期の表現を超えて徐々にその場所のアイデンティティを明らかにし、特定の感情的および肉体的な特質を印象づけることを可能にします。
大判シルバーゼラチンプリントでは、暗闇と光の間の謎のコントラストを通して、時間とぼんやりとした自己の概念は存在しなくなりました。

「Time is different in Odesa. It’s a city outside of time（オデッサでは時間が違う。時間の外にある都市だ）」

キーウで育った子供の頃、Yelena Yemchuk（イェレナ・ヤムチュック）はソビエト時代の自由な場所というOdesa（オデッサ）の評判に魅了されていました。
この街は矛盾に満ちているように思えました。
「受け入れられているが、危険でもある。無法者や知識人が住む、ジョークとキャラクターの街。」
彼女は2003年に初めてオデッサを訪れ、2015年に再び訪れ、4年間にわたり街とそこに住む人々の撮影を開始しました。本書は、ヤムチュックによるこの街への視覚的な頌歌です。