flotsam books（フロットサムブックス）

日本の写真家 海原力（Chikara Umihara）の2023年IG Photo Galleryでの展示に合わせて刊行された写真集「BUS」です。
2011年から10年以上かけてアメリカを縦横無尽に走る長距離バス（グレイハウンドバス）に乗って旅をしながら撮った作品群が並びます。
時折写り込む窓ガラスの反射が車内から撮られたことを微かに伝え、過ぎ去っていく近くの木々の残像が心地よいスピード感と共に旅をしているというよりは、旅に誘ってくるみたい。

アメリカの写真家 Jerry Buttles（ジェリー・バトルズ）の写真集「SUN CHILD」です。
本書では自身が育ったカリフォルニア特有の空気感やホームタウンを思い出す時の気持ちなどをまとめています。
カリフォルニアといえば椰子の木のイメージがあるかもしれませんが、朝焼けに染まるキャデラックや、駐車場で流れるオールディーズ、スケートボード、サーフィン、アスファルトのコートに響くバスケットボールの音、喧騒や人々、そして陽の光、そいういった全てがカリフォルニアだとバトルズは語ります。

Robert Mapplethorpe（ロバート・メイプルソープ）によるポートレート写真集。セルフポートレート他、パティ・スミス,アンディ・ウォーホル等有名人等のポートレートも掲載された美しいモノクロ写真集。序文はスーザン・ソンタグ。

イタリア出身のファッション写真家 Paolo Roversi（パオロ・ロベルシ）の写真集「Studio」です。

2013年から2020年にかけて撮影された7年間の作品の集大成である「Nice Daze」は、ニューヨークのダウンタウンにおけるコミュニティと青春の親密な肖像です。
ニューヨークのローワーイーストサイドに住んでいたAdam Zhu（アダム・ズー）は、16歳のときに、スケーター、グラフィティ・ライター、ミュージシャン、詩人、ビジュアル・アーティストなど、同世代やメンターからなる多世代ネットワークである彼のソーシャル・サークルでの経験や友人を記録し始めました。

「Body Double」は、ロサンゼルスのポートレートですが、カリフォルニアにある実際の都市ではなく、主に映画などの大衆文化における表現を通して、一般の人々の意識に組み込まれている抽象的な場所です。
「Body Double」は、Googleストリートビューや映画、ヴィンテージ画像から流用したイメージと、実際にロサンゼルスで撮影した写真をもとに、大都市の街並みを散策するものです。
街角やホテルの部屋で撮影された彫刻は指定された場所にはなく、画像は一部自動的に分解されたりソフトウェアで作成されたりし、作品の大半はスタジオの外と中で行われたいくつかのステップで作成されたもので、一見したところ何もないように見えます。
どの写真も、その制作条件、表示されているものの信憑性、そして人が画像を見るときに持ち込む無意識の期待や経験について問いかけ、議論しているのです。

Still Life（静物画）は西洋美術の主要なジャンルのひとつであり、「生命は静止している」という美しい意味を持っています。
写真で静物画というと、彫刻のようなイメージがあり、静物画の儚さは、常に作り手によってロマンティックに語られます。
世界がパンデミックと混沌の中にある今、レジャーを楽しむことは不謹慎であるとも言えます。2020年、私たちはどこにいても、同じようで同じでない苦境に立たされ、「普通」は「停滞」に置き換えられているのです。ここで本書では、この苦境を生き続けている状態のメタファーとして「静物」を考えます。

「Trance State」は、写真家 Jungang Zhang（ジャン・ジュンガン）が長旅やキャンプでランダムに撮影した作品を収録したものです。
言い換えれば、写真の中で凍りついた被写体は、彼がシャッターを押してから次のシャッターを押すまでの間に生きる、彼の世界の短い休止時間を目撃しているのです。そして、ある瞬間、彼は再びシャッターを押し、人生を再開するのです。

Jungang Zhangの写真では、それらの泥、獣の痕跡、植物、不思議な表面は、目的もなく無意識に、ある種の謎ともろさを形成しています。
それらは明確な意図や論理を持たず、何かのきっかけでシャッターを押し、被写体がフレームに滑り込んだ微妙な瞬間に飛び散る微光を捉えることが多いです。
Jungang Zhangにとって、写真は未解決のものです。それは彼の文章における狂言であり、熱狂的なエクストリームスポーツでもあります。彼自身の言葉を借りれば、「写真は純粋なトランス状態である」と言えるでしょう。

「William Klein - Yes」は、最初の抽象的なシリーズから、ニューヨーク、ローマ、東京、パリ、モスクワの象徴的なシリーズやファッション写真など、彼のフィルムや絵画的なコンタクトまで、約400ページを通して彼のすべての作品を一冊にまとめています。
これまでの出版物と同様、非常にグラフィックなレイアウトの本書は、ウィリアム・クラインの協力のもと、ピエール＝ルイ・ドニと彼女のスタジオを運営するティファニー・パスカルとともに、編集とレイアウトを最後まで追ったものです。

この作品集は、写真、映像、絵画が混在し、初公開の作品も多く、変幻自在の豊かな作品群を証明するものであ理、また William Klein（ウィリアム・クライン）の作品が、いかに数世代のアーティストに影響を与え、今日でも重要な拡張性を持っているかを明らかにするものでもあります。

2019年から2022年にかけて、著者のAlberto Vieceli （アルベルト・ヴィエチェリ）と Sebastian Cremers （セバスチャン・クレマース）は2000枚以上のブックエンドのイメージを集めました。
本の多様性は、ある種の秩序を必要とします。何かをどのように注文するかは、私たちの考え方を反映するものでもあります。
「The End of Books」は、本のジャンルという宇宙全体の微妙なドラマツルギーを表現しています。多様なモノが関わり合いながら、私たちの存在と思考の物語を描き出します。