flotsam books（フロットサムブックス）

Sergey Kostromin（セルゲイ・コストロミン）の『A Land With No Name』は、旅行や何らかの人生の出来事に関する別のプロジェクトの結果として出版されたものではありません。 これは内部地理、つまり各人の中に形成される独特の風景についての本です。 生きている間、それは世界座標に対して必然的に変形し、移動します。

この本には、過去8年間にわたる周囲の世界と宇宙の観察の写真が含まれており、長い間記憶の中に忘れられていたランダムな瞬間が記録されています。
セルゲイは、内省の主な方法として無執着を使用し、たとえそれが私たちにとってどれほど強力に見えたとしても、ほんの一瞬だけ生きて破壊される形を記録します。

このプロジェクトは、Ilya Batrakov（イリヤ・バトラコフ）が生まれ育ち、写真家の母を通じて特別なつながりを持った森の木々に、森林警備隊員の印を見た瞬間から始まりました。
それらの木々は伐採されることになり、写真家はその森をカメラに収めようと決心します。
それから15年後、森はほとんど何も残っておらず、送電線を通すために伐採が始まりました。
その後、彼らはキクイムシと戦うために伐採を続け、風は人の手によって軽率に露出されたものをなぎ倒しました。
『Mopok』は、写真家にとって意味のある場所が消えてしまう前に、その場所を捉えた素材をまとめようとする試みなのです。

Thomas Ruff（トーマス・ルフ）の写真シリーズは魅力的です。
等身大よりも大きなポートレイトの中で、私たちは若者たちの真剣なまなざしに出会い、無機質なビルのファサードは、都市のスプロール化の悲惨さを物語っています。
ポルノサイトのヌードをピクセル化すると、重要なディテールがほとんどわからなくなる一方で、これらのイメージの力が強調されます。
展覧会では、写真家は大規模なプリントを展示しますが、それはごく限られた数しか制作されません。しかし、彼は一貫して、さまざまな複製技法を用いた小判サイズの写真プリントを制作しており、それらは通常30部以上のエディションで、より多くの美術関係者が手に入れやすい価格となっています。

このエディション・カタログは、トーマス・ルフとの緊密な協力のもと、イェルク・シェルマンが最新のリサーチに基づいて作成しました。作品は、イメージの制作年ではなく、年代順に構成されており、1988年以降に制作された、サインとシリアルナンバー入りのエディションが紹介されています。

Nicholas Nixon （ニコラス・ニクソン）は、写真家としての個人的な活動と、2017年までボストンのマサチューセッツ芸術大学でこの分野の教授としての活動を組み合わせて、ここ数十年の写真史の中で傑出した特異な位置を占めてきました。
1975 年以来毎年撮影された、妻ビバリー ブラウン (Bebe) と彼女の 3 人の姉妹のポートレートで構成されたこのシリーズ「Brown Sisters」は、現代写真におけるポートレートと時間についての最も説得力のある調査の 1 つです。

本書は、1947年デトロイト生まれの写真家 Nicholas Nixon （ニコラス・ニクソン）の約200点の写真に基づく包括的な回顧展に併せて刊行されました。

ニクソンは、現代の芸術運動の圧力に影響されることなく、現実と生活に密接に結びついた、紛れもなく深く独創的な詩的な声で自らを表現しています。
彼は、理解され、共有され、記憶される説明としての芸術の概念に立ち返り、反射的な対話を確立し、私たちを悩ませ、欲望を喚起し、思考を促し、変容させる作品群を創り上げています。
ニクソンの写真は、このように、社会的な焦点を持つドキュメンタリー写真の伝統と関連づけることができると同時に、ニクソンの作品は、大判カメラ、モノクロフィルム、コンタクトシートといった伝統的な写真の道具が、これまで未開拓だった芸術的領域に踏み込むためにどのように使われうるかを、顕著に示しています。

Lee Friedlander（リー・フリードランダー）は、現代に最も影響力のある写真家の一人であり、20世紀アメリカの写真界の巨匠の一人です。
1960年代以降、フリードランダーは自身の世界とその周辺を精力的に記録してきました。彼の革新的で洗練された写真は、日常生活のありふれた側面と意外な側面の両方を明らかにしています。 本書は、マドリッドのMAPFRE財団が主催する回顧展と併せて発行され、1960年代から今日までのフリードランダーの幅広いキャリアを概観しています。

Gyula Halasz（ブラッサイの本名）の作品といえば、思い浮かぶのは夜のパリの風景です。
1899年にトランシルヴァニアで生まれた彼は、ベルリンの芸術大学で学んだ後、1924 年に最終的にパリに定住しました。その街並みの描写、並外れた光の扱い方、細部を捉えた写真は、彼に名声をもたらし、いくつかの写真は、時代と街のシンボルとして、真の文化的アイコンとなりました。

彼の写真集『Paris by Night』に収められている夜の風景は、昼のパリの日常生活を写した作品によって補完されています。
モニュメント、絵のように美しい場所、日常生活の風景、建築の細部は、画家がフランスの首都に感じた抗いがたい魅力の反映として、彼の作品に存在しています。
パリのあらゆる側面を網羅しようとする彼は、パリのダークサイドにも身を投じました。
ブラッサイにとって、ギャング、はみ出し者、売春婦、麻薬中毒者はすべて、パリの最も国際的でない面、より生き生きとした本物の面を表していました。
彼は、ナイトクラブから人気のフェスティバルまで、娯楽施設の膨大なイメージ・コレクションを編纂し、そこに出入りする人々をフィーチャーしました。
本書は写真から女性のヌードのデッサンに至るまで、写真家の芸術的な側面をすべて追跡しています。

「From my rotting body, flowers shall grow and I am in them and that is eternity.（朽ちゆく私の体から、花が育つだろう。そして、私は花の中に。それが永遠である。）」ノルウェーの画家 Edward Munch（エドヴァルド・ムンク）の言葉にインスパイアされ、タイトルにも冠した ノルウェーの写真家 Julie Pike（ジュリー・パイク）の無邪気な遊び心のあるイメージに憂鬱と繊細にコード化された象徴が吹き込まれたような写真集「FLOWERS SHALL GROW」です。

日本の写真家 Eiji Ina（伊奈英次）の写真集「Emperor of Japan」です。
『Emperor of Japan』では、伊奈英二が、古墳時代から約1600年前まで遡る、124人の日本の天皇すべての御陵（陵墓）の写真を紹介しています。
伊奈が捉えた風景は、陵そのものではなく、むしろ陵を礼拝する場所やその周囲の庭園や風景であり、万世一系の王権を主張する天皇制によって生み出されたものです。

Berenice Abbott （ベレニス・アボット）「Portraits of modernity（現代の肖像）」は、この類まれなアメリカ人写真家の世界を案内しします。 ベレニス アボットは、その作品を通じて私たちに 20 世紀初頭への扉を開き、歴史上の活気に満ちた時代を個人的に描写しています。

アボットの作品は、時代に対する彼女の現代的なビジョンを反映しています。 彼女の革新的かつ大胆な視線は、ニューヨーク市の息を呑むような景色に至るまで、当代の最先端の芸術家や知識人のポートレートや、さらにはさまざまな現象や実験の結果をとらえた科学をテーマにした写真に見ることができます。
彼女の写真は共に、新世紀の現代性を比類のない描写として表しています。