flotsam books（フロットサムブックス）

ポーランドの写真家 Zbigniew Libera（ズビグネフ・リベラ）の写真集「Fotografie」です。戒厳令の街の通り、気の抜けた自殺被害者、精神病院、刑務所、架空の新聞のページ、ヨーロッパの最後のキャンプ、現代文明の灰燼を通じて妥協のない30年の旅。Liberaの最初の写真集です。

ポーランドの写真家 Rafal Milach（ラファウ・ミラハ）の写真集「Black Sea of Concrete」です。かつてソ連であった過去を感じることができるコンクリートのように見える海。海の力を尊重してるようにみえる地元の人々と、にもかかわらず産業によって、残酷なまでに軽率に荒廃される景観。ミラハは人間と海の相互の影響と関係を探究するためにウクライナの黒海沿岸を訪れました。

イタリア人フォログラファー Federico Clavarino（フェデリコ・クラヴァリーノ）の作品集。
ヨーロッパ、単なる国々の集合体や地理的な名称を越えたその存在は、一つの意思もしくは思想の集合体とも解釈されうる。ヨーロッパの思想は、古代ギリシャやここ数世紀中の強大な植民地支配上に成り立っていたローマ帝国にはじまり、地球の歴史上重要な時代を作り出し活気づけて来た。本作品の狙いは、第二次世界大戦後のヨーロッパで、モノや人々の表面上に残る歴史の手がかりを追うことである。
それはまた都市の壁や、歴史が保存されている美術館、領土の境界を定めるために作られたバリケードと同様の価値を持つとしている。

32歳の若さで亡くなってしまった、スウェーデン人ファッションフォトグラファー、Robert Nettarp（ロバート・ネッタープ）の代表作をまとめた作品集。
ファッションの歴史上、90年代は多くの事柄、基準においてひとつの転換期となった。昨今ファッションと関連のあるクリエイティブな職業はもちろんのことだが、とりわけファッション写真家は、批評的かつ自己反映的な表現を用いた上でファッションと関わり始めた。「Not in Fashion」(2010)でSophie von Olfers（ソフィー・フォン・オルファース）が語るように「雑誌を、文化的な対話のための活発な舞台へ」変えるのである。ファッションのシステム（もしくはファッション産業理論）から予想できるステレオタイプ（既成概念）的なファッションイメージを再現するかわりに、独立して執筆をし、ファッションとアート、または他のクリエイティブな分野との間の境界線を曖昧にさせるような活動をした。アーティストのように、ファッション写真家は自分の主観性を受け入れて利用したり、個人的な関心を表現したり、伝統的にプロフェッショナルでないとされてきた部分をテーマとして扱い始めた。作者の写真は、90年代のより主観的で曖昧なファッション写真への変遷を写し出している。

32歳で突然その生涯を終えた時、このスウェーデン人ファッションフォトグラファーの作品は、産業的に多大なる影響を与えたと称えられた。リアリティを変形させ、歪め、壊すためにデジタル技術を用い「完成」という考え方に挑戦した数少ないフォトグラファーの一人。

オーストラリアの写真家 Bill Henson（ビル・ヘンソン）のプリント付き写真集「BILL HENSON」です。ビル・ヘンソンは自然と文明、若者と成人、男性と女性の間で、ロマンチックな文学と絵画の伝統を継承する絵画的な描写で、中間地帯を探求する希有な写真家です。エレガントで壊れやすく、はかない若者や風景、深い夜の時間の毛皮のような質感のカラー写真は他に類を見ないほど美しい。

オスカー・バルナック新人賞受賞を受賞したポーランドの写真家 Wiktoria Wojciechowska（ヴィクトリア・ヴォイチェホフスカ）の写真集「Short Flashes」です。台風シーズンの中国東北部で、自転車に乗った人々をフラッシュを焚いて撮影したエキサイティングで活気に満ちた一見遊び心のある写真集ですが、実際には場所の感覚を失った憂鬱の比喩として表されます。作品は、記憶のための顔のコレクションであり、彼女の言葉を借りるなら、「知らなかった人々を覚えておく新しい家族のアルバム」として、類型的ドキュメントとして存在します。

Tuomas Merikoski（トーマス・メリコスキ）のブランド「Aalto」のファーストコレクションで触発されたフィンランドの写真家 Jouko Lehtola（ヨウコ・レヘトラ）の作品。彼の撮った80年代から90年代のフィンランドのティーンエイジャーたちのリアルな姿はTuomasに自らのブランドを通して彼の世界を伝えたいと思わせたそうです。これはレヘトラのライフワークへのオマージュとしてJouko Lehtola財団と共同で制作された写真集「FINNISH YOUTH」です。

アルゼンチン生まれ、現在ロサンゼルスを拠点に活動する写真家 Nicolas Silberfaden（ニコラス・シルベルファデン）の写真集「738」です。「738」は4年間に渡って大判カメラで撮影されたロサンゼルスの都市景観です。「738」というタイトルはNicoが毎日写真を撮りに行く際の出発点の建物の番号に由来しているそうです。イメージは憧憬と親密感の間の緊張を探ります。空間、物体の偶発的な出会いは、これらの断片化された領域の中で自分を探す場所を見つけることを目的としています。

ドミニカ共和国出身、メキシコ在住の写真家 Alejandro Cartagena（アレハンドロ・カルタヘナ）の写真集「Rivers of Poewr」のプリント付トレードエディションです。トレードエディションは490部ですが、そのうち最初の１００部がプリント付です。6年間に渡って取り組んで来たサンタカタリーナ川を巡る悲劇的な関係の物語です。かつては社会階級の間の境界としてあり、また20世紀と2010年には、多くの人々の命やモノを奪いました。工業都市の都市計画と川との関係を探ります。

ウクライナ生まれの写真家 Yulia Krivich（ユリア・クリヴィッチ）の写真集「PRESENTIMENT」です。Presentimentは「よくない予感、虫の知らせ、予感」等の意味であり、意識の記録です。不合理な状態や何かが近づいていることなど、言葉で表せない信号、起こったことや起こることの可能性の変化の感知です。この写真集の主人公は、若い人たちや決まっていない場所です。

Yuliaは年に数回ウクライナに行く時、大きな事件は主にウクライナの東側（ユーロマイダンやロシア軍の侵入など）でおき、一定の偶然を記録します。そしてYuliaはウクライナの急激な変化と自身のフォトルポタージュを結びつける事を思いついたといいます。

これは、沈みゆく国と精神的葛藤の対比の複雑な予感です。潜在意識やそれに付属しているすべての不安をキャプチャするための直感的な試みです。