【Photographs by】Momo Okabe(岡部桃)
【出版社】まんだらけ出版局 2020年 Limited edition 550 copies
【装丁】Hardcover(ハードカバー)
【ページ】152 pages with col. illus.
【サイズ】32 x 26 cm
【状態】B: Very Good
日本の写真家 Momo Okabe(岡部桃 )の写真集「イルマタル」です。
前作「Bible」出版後の2014年から2019年まで国内で撮影した写真で構成されています。
イルマタルとはフィンランドの民族叙事詩カレワラに登場する大気の乙女の名前であり、彼女の身体によって世界の創造が完成されたとされています。
本作では非性愛者としての彼女の妊娠・出産という大いなる試みが描かれており、それはどこか原初の世界を漂い、子供を宿したイルマタルの物語とリンクしているように感じます。
赤、青、黄、紫…とさまざまに色を付与された写真は、非現実的な色彩なのに幻想的ではなく、むしろ生々しささえ感じます。
人工授精の場面やウエディングドレス姿の場面、そして出産、日常生活や日常の風景の中で少しずつ進んでいくシークエンス。極めて現実的なイメージが少しずつ脳裏に焼き付けられていくようであり、そして最後の静けさはこれから始まる赤ん坊の人生を静かに祝っているようでもあり、祈っているようでもある。